年収300万でもゆとりの老後を迎える方法

出口治明という名前を聞いたことがあるだろうか。還暦を過ぎてから、ライフネット生命という生命保険会社を立ち上げた人だ。「保険のおばさん」をなくし、ネットで保険を売るオンライン保険。泥臭く、古臭い日本の保険業界に、初めて本格的なITを持ち込んだ人だ。

大手保険会社を親会社としない、独立系の生命保険は国内初で、しがらみがないだけに、独自の路線をいける。人件費や店舗の経費がかからない分、保険料を安くできる。「想定外の出費」に備え、わたしは、保険ではなく株で稼ぐ派だが、家族持ちで、株なんかで1円たりとも損できない人は、ライフネットがいいだろう。

さて。

そんなナイスな保険商品を日本人にも利用可能にした出口氏だが、20代の若者に向け、お金の教科書も書いている。こんなタイトルだ。

働く君に伝えたい「お金」の教養 人生を変える5つの特別講義

すでに株で順調に資産運用している私としては、今さらこのような「お金の基礎」を聞く必要はないが、著者が出口氏であるだけに、その内容を見てみたい衝動に駆られた。貯蓄どころか、安定収入すらおぼつかない若者に、保険の達人はどのようなアドバイスをするのだろうか。

結論から言うと、読んでよかった。

経験を積んだ年長者が、若者を相手に人生を語る、という切り口だが、この感じ、いつか来た道。あれだ、嫌われる勇気だ。あの語り口に似ている。おそらく出口氏も、あの秀逸な作品を意識して書いたのだろう。(失礼ながら、遠く及ばないが)

全編を通し、お金に関する、ほんとうに基本的なところを丁寧に説明しているわけだが、不思議に退屈しない。退屈しないどころか、ともすると、堅苦しく、型にはまりがちな「お金のいろは」に関する解説が、むしろ新しい。

着目すべきは、お金のやり繰りを語るうえで、著者が拠り所としている知識の海。教養とも言うが、その時間的、空間的な広がりは、10年20年どころか、100年、1000年単位で見ている。小手先のテクニックや目先の現象に惑わされず、どっしり、ゆっくり構えている。年長者の貫録だ。

ひとつ難点を挙げれば、やはり出口氏は日本人であり、保険業界の人間であるということ。お金を積極的に増やすフェーズ、つまり、株や債券、為替などで金融市場に打って出る場面になると、「投資信託が一番」という結論に落ち着く。投資信託は、あの業界で喰っている人が、素人に進める商品だ。われわれは、葱を背負った鴨なのだ。(出口氏が本気で薦めているとしたら、彼も鴨だ)


20代といえば、資産運用なんて「まだまだ先の話」と思うかも知れない。30代にもなれば、保険やローンのひとつやふたつ、始める人もいるだろう。しかし、日本人の多くは、定年ちかくなるまで、資産運用はしない。欧米では、40代のリタイアを目指し、早くから始めるのが普通というのに。

老後に備え、貯金が大好きな日本人。もしもの時のために、保険が大好きな日本人。安全・安定・安心を何よりも重視する日本人だが、貯金も保険も、資産運用としては最悪のチョイスだ。これほどコスパの悪い商品を喜んで買うのは、世界広しといえど、日本人だけ。不思議な現象だ。

20代でお金の教養を身につけるのと、定年後に退職金でやっとこさ資産運用を考え始めるのとでは、人生に大きな違いがでる。お金を侮るなかれ。老後の心配とは、すなわちお金の心配のこと。同じ年収300万でも、40年間という運用期間を味方につけるか否かで、下手をすると、億単位の差がでる。

一度きりの人生。
一刻も早く、お金の知識を身につけられたい。


posted by ヒロミシュラン at 12:16 | Comment(0) | 株とFXで1億円つくる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする