『人間失格』太宰治

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人間失格 (新潮文庫)

太宰治 39歳のときの作品。
女々しい書き散らしの多い太宰作品のなかでは断トツの完成度。これ一つで夏目漱石に並ぶ文豪と称されるに至った、太宰文学の最高峰。

とにかく、凄い本だ。

世の人間に対する軽蔑と滑稽さを、主人公の洞察力と観察力と機知を通し、完璧に表現。主人公は大真面目で悩んでいて、そのやり切れなさ、イライラが、直球で伝わってくる。

本書の扱うテーマは非常に暗く、重い。主人公的には、それこそ必死のパッチで生きているのだが、それを登場人物の声を借りて読者に伝えようとする著者の文章はユーモアに富み、笑える。決して笑えない場面でさえ、声を上げて笑ってしまう。

太宰の思うツボだ。

全体として、そのユーモアに富んだ表現が、人間というものの滑稽さ、儚さを強調し、寂しくなる。太宰治のウィットに恐れ入りながら、寂しくなる。


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