角田光代も恐れた更年期障害の到来

角田光代の才能は、小説よりエッセイの方でより発揮されると、わたしは感じる。
で、今回のエッセイ集は、角田光代がアラフォーからアラフィフにかけて書き溜めたもので、わたしの容れものというのは、つまり、彼女の肉体のことだ。

角田光代は1967年生まれ。今年49歳の堂々のアラフィフだ。この本を書き始めた当時はまだ40代半ばで、その時点では更年期障害も老眼も閉経もきていなかった。50代を目前に控えた今はどうだろう。

先日ネタにした40代からの生き方の語り部と違い、角田光代はプロの小説家。自分を客観視する能力に長け、自身のカラダや感覚の変化を観察し、的確でわかりやすい言語に置き換えていくのが上手い。ゆるめの口調を使っているが、ものすごい才能だ。

同世代のアラフォー、アラフィフにとって、老いていく過程がこれほどわかりやすく書かれた本は、近く自分に降りかかる災難(変化)をあらかじめ知る上で、あるいは、既に自らに降りかかった災難(変化)を自分自身が理解する上で、絶対的な価値があるはずだ。

更年期障害、老眼、閉経、ぎっくり痛、転びやすくなった、食べ物が口からこぼれる、乾燥肌になった、肉を食べたくない、豆腐の美味さに開眼した等々。

彼女が発見した「老い」の象徴のなかで一番秀逸だったのが、「人は老いると、欠点が強調される」ということ。人は齢を重ねる中で、経験を積み、知識を得、賢者になるのではない。大方は、恥じらいや謙虚さを忘れ、オレ様になるらしい。他人にクチを挟ませず、飽きもせず、ワレがワレがと喋りまくる。

そこで彼女が悟ったのは、人が老いて大切なのは、賢者になることではなく、欠点だらけでも、憎めない人になること。欠点すらが、笑いの種である人になること。それが、幸せの秘訣だという。

うーん、なるほど。

良い例が、米国大統領候補のドナルド・トランプだ。

わたしは思う、奴は憎めないと。どれだけ失言を繰り返そうが、思わず吹き出し、許してしまう。トランプ自身、そのことを知っている。人は、彼の失言を愛するだろうことを。ある意味、恐ろしい人物だ。あの愛嬌を前に、ヒラリーは勝てないだろう。米国初の女性大統領は、またしてもお預けだ。

角田光代の鋭い筆が光る、人間の老い。アラフォー以上の女性には、必読の書だ。




posted by ヒロミシュラン at 15:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | あの作家の日常生活を覗く | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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