ドナルド・トランプ、この未知なる存在

BSフジのプライムニュースは、平日の夜に放送される時事ニュース番組だ。この番組では、その日一番ホットな(と判断される)トピックスを取り上げ、その道の専門家や識者をスタジオに招き、それぞれに意見を語らせ、闘わせる。しかも生放送。そこで堂々と己の意見を述べるには、そのトピックに深い造詣を持っていることが条件となる。

出演者にかかるプレッシャーは、生放送というだけではない。そこには自分と同等かそれ以上の知識人が集まり、その中で己の見解を堂々と発言するのは、かなりの度胸を要する。人間、できれば恥はかきたくない。しかも公共の電波で。他人と喧々諤々の議論を展開できるほどの持ちネタは、せいぜい1つか2つ。従って、番組に招かれる客の顔ぶれは、ネタ毎にほぼ決まっている。

昨年11月の大統領選以降、何かと話題が尽きないドナルド・トランプ。存在も扱いも、もはや米大統領のそれではない。その大胆で率直すぎる物言いは、ある意味、爽快ですらある。そんなトランプの「問題発言」にいちいち目くじらを立て、全力で猛反発する米主力メディアの対応も笑えるが、それをそのまま記事にするしかない日本のメディアも辛い。

そんな中、プライムニュースのトランプネタでは、木村太郎(政治家)、古森義久(ジャーナリスト)、そしてデーブ・スペクター(タレント)の面々が、概ねレギュラー陣となっている。木村太郎はトランプ支持、古森義久は中立ややトランプ寄り、そしてデーブ・スペクターが反トランプだ。3人が3人、強烈な個性と主張を持ち、トランプをめぐって意見は真っ二つに割れる。

木村太郎は、虚より実をとるトランプの実業家としての素質をいち早く見抜き、それなりに買っている。巷では、1期4年はもつまい、途中で弾劾もありか?とささやかれて久しいが、木村氏は「2期8年」という大胆すぎる予測をしている。古森氏はそこまでトランプを買ってはいないものの、基本的にはトランプ支持だ。世界の主要メディアが反トランプ報道を繰り広げる中、この2人は冷静に、公平に、トランプ政権を分析している。

方やタレントのデーブ・スペクター。自身が米国人であるにも関わらず、いやむしろ米国人であるためか、トランプに対する憎悪を隠さない。隠せない。トランプ憎しで、もはや言ってることが無茶苦茶。トランプ個人だけでなく、トランプのサポーターまでひっくるめ、無知・無能・低能・狂人呼ばわりしている。

わたし個人としては、木村太郎の見解が一番あたっていそうに感じるが、この木村+古森 vs.デーブ・スペクターの論争の構図が、抜群におもしろい。番組もそこんところを十分に心得ていて、トランプネタにはあえてこのメンツをぶつけてくる。なぜそこにデーブ・スペクターがいるのか。万人が感じるその疑問に、それ以外には説明がつかない。

そんななか、三浦瑠璃という若手の国際政治学者がいる。国際情勢を独自の視点で解釈するキレ者で、今やネットや地上波のニュース番組で彼女を見ない日はない。アタマがキレるだけでなく、ビジュアルもなかなかだ。韓国の従軍慰安婦問題について、プライムニュースでは、東海大の名物教授 金 慶珠(キム キョンジュ)に、三浦をぶつけるケースがままある。三浦とキムの論争も、「笑える構図」として確固たる地位を確立しているようだ。

余談だが、櫻井よしこはもう古い。本人にも自覚があると思うが、櫻井はそろそろ潮時だろう。

守備範囲が広いこともあってか、三浦はプライムニュースではトランプネタのレギュラー陣ではない。しかし、国際政治学者である彼女が、こんなにおもろい研究対象を放っておくはずがない。彼女はメディア報道では見えてこない真のアメリカを知るため、現地取材を通し、「アメリカの今」を一冊の本にまとめた。それが最近でた「トランプ時代」の新世界秩序 だ。

テレビやネットでの発言でもわかるように、三浦瑠璃もまた、この業界では珍しくトランプ政権に肯定的な見方をしている。木村太郎ほどの過激な発言はないものの、なぜトランプが大統領になれたか、トランプ大統領の出現は必然だった、トランプの政策はたぶん正しい、と言った内容のトランプ肯定論が無難にまとめられている。

三浦瑠璃は一見ばりばりの論理派に見えるが、けっこう直感で物事を判断し、発言するところがある。まだ若く、今は旬だから、そのアンテナの高さや瞬発力で無難にこなしているが、もう少し年をとったら、彼女のような直感でモノを言うタイプはヤバいかも知れない。このまま勢いだけでいくと、案外早く賞味期限切れになる可能性もある。

三浦瑠璃は、日本の女性には珍しく、大局的に世界を見ようとする「センス」をもつ貴重な存在だ。第2の櫻井よしこにならないことを願うばかりだ。





posted by ヒロミシュラン at 12:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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