北朝鮮とアメリカが核戦争に突入したら

渚にて 人類最後の日は、第三次世界大戦を想定して描かれたSF作品だ。

ロシアと中国の覇権争いに世界が巻き込まれ、北半球で4800発の核爆弾が炸裂。放射能が地球を徐々に包み込み、北半球は完全に壊滅。ニューヨークもロンドンも東京も上海も、もはや1人の生存者もいない。

その後放射能は赤道を越え、南半球にまで南下。リオデジャネイロ、ケープタウンといった南米、アフリカの大都市も全滅。オーストラリア大陸も北から徐々に汚染され、まずはケインズ、ブリスベン、パース、シドニーときて、隣国ニュージーランドのオークランドでも被害者が報告された。

そして人類に残された最後の大都市メルボルンの全滅も、時間の問題だった。

今から60年前の1957年、イギリス人作家のネビル・シュートによって描かれたSF小説だが、状況は2017年の現代に酷似している。

北朝鮮とアメリカの関係がこじれ、ある意味似たもの同士の両国トップが単独で爆走し合い、このまま核戦争に突入したら?核兵器を使ってしまったあと、人類に、地球に、どのような被害が及ぶのか。人々は逃げ惑い、店を略奪し、お互いに殺し合うのか?

ネビル・シュートはそうは考えない。そうではなく、人類の大半は、昨日と同じ今日、今日と同じ明日を、粛々と続ける。ワインを飲み、釣りに行き、それぞれの趣味に没頭し、毎日のやるべきリストをこなしながら、来月の、来年の、子供の、ペットの、農園の将来を心配する。

SFではあるが、物語の展開は非常に堅実で、チープさは皆無。さすが、イギリスの知性が光る。

今読むべき、旬の小説だ。




posted by ヒロミシュラン at 12:10 | Comment(0) | 心に残る小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする