アラフォーからの婚活

20代の頃、地方から上京し、バイトで食いつなぎながらイラストレーターとしてひとり立ちしたたかぎなおこ。キャリアウーマンという言葉が赤面しそうなくらいに庶民派でマイペースなたかぎなおこが、ついに結婚!その衝撃的な告白から1〜2年。入籍に続き、妊娠、出産と、気づいた時には、すでにお母さんになっていた!

20年ちかい年月を東京でひとり、気ままに暮らしてきたたかぎなおこ。一人暮らしは彼女のシンボルでもあった。そんなマイペースな彼女も、40を目前にした39歳の時、60歳になった自分を想像した。いまだ独身で、猫と暮らし、こたつに入りながらお茶と饅頭を食べている自分。

それでは、後悔するかも知れない。

やってダメなら諦められるが、やらずに後悔するのは嫌だ。人生を変える決心をしたたかぎなおこは、婚活を開始する。婚活といっても、なにもどこかの団体に登録してパーティーに参加したり、お見合いしたりすることに限らない。自分は結婚すると自分に誓う、それも婚活だ。

自分はどんな人が好みなのか。どんな暮らしを望むのか。どんな人となら、自分の理想の暮らしを実現しならがら、楽しく過ごせるのか。そして、そんな目で回りを眺める。仕事で会った人、飲み会で会った人、近所の店で働く人、通りを歩く人、などなど。

注意しなければならないのは、恋愛して楽しい人と、結婚して幸せになれる人は違うということだ。多くのケース、真逆のキャラになりうる。イケメンでアタマが切れる人は、見た目にはいいし、親も友人も驚くだろう。しかし、こういう人と結婚すると、日々の生活は地獄を見る場合が多い。

たかぎなおこが結婚したのは、見た目はタヌキ、性格はパンダだ。いや、パンダがどんな性格かは正確には知らない。しかし想像するに、よく寝、よく食べ、マイペースでのんびりしてやさしくて順応で、危ない橋は絶対に渡らない。そもそも「危ない橋」の存在すら、気づかない人。

たかぎなおこは、この見た目はぱっとしない2歳年上のパートナーと、ぜんぜん気張らず、ご飯を食べたり、散歩したり、テレビを見たりして楽しく過ごしている。共通点は、のんびりして、DIYが趣味で、食べるのが好きなところ。まったく、理想的なパートナーを見つけたものである。

たかぎなおこの新作お互い40代婚 は、彼女が39歳で婚活を始めたところから、43歳で母になったところまでの記録だ。おそらく、数ある彼女の作品のなかでも、最高傑作であろう。あまりにも素晴らしすぎて、わたしは一気に3べん、繰り返して読んでしまった。

結婚は、運命でも偶然でもない。
結婚は、自分に対する決心である。

人生を変えると決心した瞬間、9割方は終わったようなもの。10代や20代ならまだしも、30歳を越え、理性と計算によって動く年齢に達した成人は、好きになったから結婚するのではない。結婚すると決めたから、他人を受け入れるのである。

100人のなかから、一番好きな人を選らぶのではない。そうではなく、100人のなかから、これだけは勘弁、生理的に受け入れられない、というのをさっ引いていき、残った人は基本的にみんなオーケー。それが、大人の結婚観である。

40歳を過ぎて結婚した人は、恋に落ちて突発的に結婚してしまった若年カップルに比べ、双方が受け入れる準備ができているだけに、お互いに完璧をもとめていないだけに、相手に過剰な期待をしていないだけに、幸せで安定した結婚生活を送れる可能性は高い。

日本全国の中高年独身諸君、本書は必見である。





posted by ヒロミシュラン at 12:09 | Comment(0) | あの作家の日常生活を覗く | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする